2009年読了本一覧-2

(5月)

134◇アン・マキャフリー&ジョディ・リン・ナイ「魔法の船」☆☆
 「歌う船」シリーズ5作目。タッグ14年を迎える「脳」ナンシア&相棒ケフは
 知的生命発見船として活躍中。新たに発見した星に降り立った二人を待ち受けて
 いたのは、四本指で毛だらけの農民と電磁波に反応するカエル、そして魔法を
 自在に操る魔術師達だった。選民意識みたいなものにひっかかりすぎて☆2。
 このシリーズにはもっと壮大なものを求めていたい。

135◇恩田陸「きのうの世界」☆☆☆
 失踪した男が一年後に死体となって現れた。三本の塔に見守られた小さな町に
 いくつかの小さな「事件」が重なり合い、一つの不思議なストーリーが作られる。

136◇太田忠司「男爵最後の事件」☆☆☆
 名古屋在住探偵霞田志郎12作目。対照的な二人の名探偵、男爵と志郎の決着編。
 “探偵はいかに事件に関わるべきか”を問う。シリーズをずっと追ってきた読者
 には衝撃のエピローグも!

137◇ドロシー・ギルマン「おばちゃまは飛び入りスパイ」☆☆☆☆
 米国在住、子供を育て上げ、ボランティアに精を出す還暦を過ぎたばかりの
 “平凡なおばちゃま”ミセス・ポリファックスは、ある日突然子供の頃の夢を
 実現させるべくCIAの正面玄関を叩いた。冗談に思い、追い返そうとするCIAだが
 ちょっとした偶然で「簡単なおつかい」を頼まれてカナダに向かうことになる。
 タイトルから明るくライトなスパイ物だろうと思って展開を予想していたのに、
 違う方向に裏切られ(もちろん良い方向に)ただ者ではない“平凡なおばちゃま”
 に翻弄されました。

138◇早見江堂「本格ミステリ館消失」☆☆☆
 ミステリ界の巨匠の作品をモデルにした館に集まった人々が次々に消えたという
 通報、そして謎の殺人事件。しかしその謎は依然解かれることはない。事件の
 透視ができる人物の話を聞き、遺族の女性が「ある形見」を持ち出し、絶対に
 犯人を突き止めたいと願う。そして、恐ろしい事件の本当の道筋が語られる…。
 矢口敦子の別名作品。

139◇東野圭吾「私が彼を殺した」☆☆☆
 結婚式場で、流行作家が毒殺された。動機を持つ三人の目線で事件は語られる
 のだが、犯人の姿は一向にハッキリしてこない。三人の容疑者と明かされる事実
 で犯人を指摘できるのか?


140◇原宏一「トイレのポツポツ」☆☆☆
 「男性便器の床に飛び散ったポツポツ」を発端に、中堅麺会社で決定的な崩壊が
 始まったとは誰も気づかない。心ある社員が蔑ろにされる状況にガマン出来なく
 なった社員たちが、腐りきった上層部に反旗を翻す、サラリーマンストーリー。

141◇三谷幸喜「三谷幸喜のありふれた生活7 ザ・マジックイヤー」☆☆☆
 朝日新聞に連載中のエッセイ第七弾。主に08年の映画「ザ・マジックアワー」や
 舞台に関する内容。

142・143◇杉原智則「ワーズ・ワースの放課後 全2巻」☆
 眠る度、平凡な中学生と、世界の危機を救う役目を負った王子を行き来し始めた
 主人公。どちらの世界でもそれぞれの立場で解決しない悩みを抱え、心の安まる
 ヒマがない。この主人公は言動に努力している感がないので、応援しにくい上に
 クライマックスも「……へぇ」って終わってしまったので、色々ガッカリ。

144・145◇竹宮ゆゆこ「とらドラ! 3・4」☆☆☆
 目つきの悪さは三国一の少年竜児と、獰猛な言動で周囲と一線を画す美少女大河。
 お互いの親友に恋をした二人はお互いを助けるために手を組んだ。やることなす
 こと裏目に出まくった過去を大反省し、水泳大会や夏の旅行でチャンスを狙う今回
 の首尾やいかに。主人公の犬気質がかわいい。

146◇茅田砂胡「追憶のカレン クラッシュ・ブレイズ12」☆☆☆
 超一流の殺し屋シェラがまさかの失踪。絶望的な証拠以外は見つからない状況で
 もリィは諦めず、一本だけ残った細い糸をたぐり、ある秘密を持った一族に接近
 していく…。

147◇西尾維新「不気味で素朴な囲われたきみとぼくの壊れた世界」☆☆☆
 「世界」シリーズ5作目。ある女子校で不可思議な連続殺人事件が起こる。臨時
 教師として赴任直後、たまたま第一発見者になってしまった病院坂迷路(ただし
 バックアップ)は、あろうことか教師になっていた串中弔士の部下として事件の
 真相を探る「探偵役」を任命される。

148◇渡辺容子「イン・パラダイス」☆☆☆
 J-POPのカップルユニットとして大成功、幸せの頂点である結婚式直前に恋人を
 喪った主人公。音楽の世界から引退し、音楽とは無縁の相手からの求婚を受け、
 さびれた田舎町で静かに暮らし、ヒマを見つけてはパチンコ店に通う毎日。しかし
 パチンコ仲間の不審な失踪と、死んだ恋人に瓜二つの人物の登場により、主人公
 は激動の渦に巻き込まれることになる。

149◇椎名誠「ももんがあからっ風作戦」☆☆☆
 連載16年、シリーズ20巻目のエッセイ「赤マント」。いつものに比べると旅を
 していない一冊。


150◇西加奈子「うつくしい人」☆☆☆☆
 自分と他人・自分と社会・自分と家族の距離感を掴めずあがく毎日に疲れ、独りで
 逃げるようにやってきた孤島のリゾートホテル。「うっかり傷付く中二状態の
 三十路オンナ(あとがき引用)」の主人公は、そこでおかしな二人に出会う。

151◇芦辺拓「少年は探偵を夢見る」☆☆☆
 シリーズ何作目かは不明。好奇心旺盛な少年が、いかにして名探偵・森江春策に
 なったか。美形過ぎず常識もありコネやごり押しでない人脈を持ち、決める時は
 探偵っぽくぴしっと決める「まっとうな社会人探偵」として要注目。

152◇ドロシー・ギルマン「おばちゃまはサファリ・スパイ」☆☆☆☆
 おばちゃまスパイシリーズ三作目。同行者の写真を撮るだけの簡単な作戦を
 任されてアフリカのサファリツアーに参加したおばちゃま。現地にいる友人と
 連絡をとるため新聞広告を出したことで、予想もしないトラブルに巻き込まれる。

153◇西尾維新「真庭語」☆☆
 「刀語」のスピンオフ作品。真庭忍軍の初代頭領たちに焦点をあわせた物語。

154◇大崎梢「スノーフレーク」☆☆☆☆
 上京を目前にした主人公・真乃の前に、6年前に行方不明になった幼馴染みと
 そっくりな男性が現れる。目撃談や、紛失していた交換日記が届くなど、幼馴染み
 が帰ってきたような証拠が次々と見つかる中、真乃は「ある疑問」を抱いていた…。
 時々不自然に文章っぽい会話文が出てくるのが気になる。頼まれてもないのに、
 文字校正をしたくなる(笑)

155◇大倉崇裕「オチケン、ピンチ!!」☆☆☆☆
 オチケン第二弾。廃部寸前の落語研究会(オチケン)に無理矢理入部させられた
 越智健一は、落語の天才・岸&武術の達人・中村という個性的な先輩によって
 便利な使いっ走りにさせられていた。今回は岸がぬれぎぬにより退学に追い込まれ
 るという騒動に始まり、有望落語家の失踪という大事件まで起こってしまう。

156◇霞流一「ロング・ドッグ・バイ」☆☆
 公園の銅像前に突如植えられたゴボウ・巨木にひっかかった赤いカーペット・
 そして名犬と誉れ高い犬が蘇ったというウワサが、近所の犬中に広まっていた。
 特殊技術を持った犬たち&ハードボイルド探偵犬が謎の究明に立ち上がる。

157◇山本弘「地球最強姉妹キャンディ 大怪盗をやっつけろ!」☆☆☆
 ママの再婚相手は熊みたいな大男の冒険家、妹になる子はバトルの猛者にして
 サバイバル精神満載の少女。勉強ひとすじで真面目な姉は、再婚に反発を覚え
 つつも和を乱さぬようガマンしていた。結婚式間近のある日、姉が悪い怪盗に
 誘拐されてしまう!正義感の強い妹は姉を救うことができるのか!?

158◇山下貴光「屋上ミサイル」☆☆☆
 第七回「このミス」大賞。某大国の大統領がテロ組織に拉致され、世界中に
 核ミサイルを撃ち込むと宣言する中、具体的な緊張感を掴みかねる日本の高校の
 屋上で「屋上部」なる男女4人の部活が結成されていた。恋やトラウマ、果ては
 麻薬や拳銃に関するトラブルを次々解決して行く彼らの活躍っぷりはすごい。
 が、あんまりにもご都合的偶然が重なりすぎだと思う。勢いのあるストーリー
 といえばそうだけど、話の展開に合わせて設定を作り変えすぎてやしないか。
 キャラは魅力的なので、エピソードを2〜3削ってもっともっと会話を取り入れ
 ればいいのに。☆5の要素はあるのにマイナスが多くてもったいない。

159◇稲見一良「猟犬探偵」☆☆☆☆☆
 狩猟中に山で行方不明になった猟犬の捜索などを請け負う「竜門猟犬探偵舎」。
 消えた犬の行方だけでなく、依頼人の真摯な態度によっては馬やトナカイも探す。
 探偵といいつつ謎解きではなく、人と人、人と生き物の「生」を描く。
 独りで生きているように見えるが、必要な時に快く手を貸し借りできる相手が
 いて、更に依頼を通して新たな友人ができていくのも、主人公の人柄がよくわかる。
 他人の言葉に惑わされず、自分の信念を貫き通す主人公は、社会的な意味での
 立派な人とは全く違う、熟成した人間・男の姿である。作者は既に鬼籍の人なので
 新作を読むことが叶わないのが、心の底から残念。別の短編集「セント・メリー
 のリボン」も同主人公が登場する一級品の名作なので、できたらこちらを先に。


160◇S・M・スターリング「復讐の船」☆☆☆
 「歌う船」シリーズ7作目、「戦う都市」続編。頭脳船の養子、そして敏腕商船
 船長として順調な生活を送るジョートに、悪名高い一味への潜入依頼が舞い込んで
 くる。それと同時に養母の恋人が過去の因縁により、残虐非道な殺戮集団に拉致
 監禁されたという知らせが。二つの難解な依頼が混在する中、ジョートはトラウマ
 に悩まされながら事態を収拾することができるのか。

161◇松尾由美「雨恋」☆☆☆
 留守番役として住むことになった叔母の高級マンション。同居人は二匹の猫と
 若いOLの幽霊だった!自殺とされた彼女の死の真相を探るため、主人公は彼女と
 奇妙な同居生活をする中で、いつしか淡い思いが芽生えていた…。


(6月)

162◇仁木英之「胡蝶の失くし物」☆☆☆
 僕僕先生シリーズ3作目。それぞれの探し物を胸に旅を続ける一行は、凄腕の暗殺
 人に狙われる。薄妃の恋の結末と、新メンバー蚕姫により新たな火種も発生。

163◇九条菜月「空の欠片 魂葬屋奇談」☆☆
 クラスメイトの突然の死、その事件直後に知り合った謎の少年+喋る黒猫、
 「魂葬屋」と名乗る彼らから「欠けた魂を探す手伝い」を頼まれた主人公は…。

164◇芦辺拓「グラン・ギニョール城」☆☆☆☆
 名探偵・森江春策シリーズ(何作目かは不明)。『ミステリー・リーグ』誌上で
 未完の作品となっていた「グラン・ギニョール城」と、森江の目の前で倒れ死んだ
 男の謎が、壮大なトリックにより鮮やかなフィナーレへと導く。結構ムチャな
 密室殺人にうまいこと理屈をつけるものだなぁと感心。

165◇沢村凛「笑うヤシュ・クック・モ」☆☆☆
 悪友たちと10年ぶりの再会。その場のノリでtotoを買ったら、後日それが一等に
 なっている「かもしれない」事態に。しかしその証拠となるカメラが別人の物と
 取り違えられた事が判明し、時間に余裕のある主人公がカメラを探すことになる。

166◇阿川佐和子「お見合い放浪記」☆☆
 お見合いを30回以上もしたのに、どーして運命の相手は現れないのっ!?
 お見合いも回数をこなせば様々な事が見えてくるという事を綴ったエッセイ。

167◇朱川湊人「本日、サービスデー」☆☆☆☆
 がんばっているのに報われないオジサン達に光の当たる、ちょっとイイお話を
 集めた短編〜中編集。

168◇有栖川有栖「赤い月、廃駅の上に」☆☆☆☆
 鉄道テーマのテイスト色々短編集。三途の川を渡るのに舟じゃおっつかなくなって
 鉄道になったというのは、なんかいいと思う。

169◇東野圭吾「ウインクで乾杯」☆☆☆
 タイトルで時代が偲ばれる(25年前の作品)。コンパニオンの同僚がパーティー
 終了後に死体となって発見される。痴情のもつれによる自殺というのが信じられ
 ない主人公は、隣室の刑事の協力を仰ぐ。


170◇村上春樹「夜のくもざる」(再読)☆☆☆☆
 夜中、窓をこじ開けて侵入してくるくもざる。逃げ場のない家に執拗に迫る海亀。
 ???がいっぱいながら引き込まれる、不思議な短い短編集。

171◇風野真知雄「妻は、くノ一」☆☆☆☆
 変わり者の田舎侍に嫁入りした素性の知れない美人嫁は、お庭番で優秀なくノ一
 だった。調べが終わった途端行方をくらました妻を捜すためだけに、田舎侍は家を
 名を捨てあてもなく江戸へ。そして思いもよらぬ成り行きに身を任せることになる。

172◇吉本ばなな「哀しい予感」(再読)☆☆☆
 明るく楽しい家族の見本のような家庭に育った弥生は、古い一軒家にひっそりと
 暮らす変わり者のおばの存在が気になっていた。以前は主人公目線で読んでいたが、
 今やゆきのさん(おば)目線になっている自分がいます。

173◇黒崎緑「しゃべくり探偵」(再読)☆☆☆☆
 「ボケ・ホームズとツッコミ・ワトソン」が、四つの不思議な謎に挑む。
 会話や手紙のやりとりだけで進むストーリーは人によっては読みにくいらしい。

174・175◇アンヌ=ロール・ボンドゥー「マルヴァ姫、海へ! 上下」☆☆☆☆
 意に染まぬ結婚前夜、心の姉と慕う小間使いの少女とともに城を出奔し海へ向かう
 ガルニシ国王女マルヴァ。しかし世間を知らない王女を待ち受けるのは辛く厳しい
 試練の数々だった。父により閉じられた人生を送ってきた船乗りオルフェユス、
 辛い別れにより言葉を無くした船員バビルス、遠い異国で自らの知識を活かし
 いつか故郷へ帰る事を誓う少女レイ。執拗に追ってくる宿敵と、人智を超えた
 ものとの戦いに勝ち、マルヴァ姫は目指す場所へ帰れるのだろうか…?

176◇西加奈子「きりこについて」☆☆☆☆
 美形家族に生まれ落ちた「ぶす」のきりこ。女王様気質の幼年期、美醜の基準に
 悩む少女期、そして大人へと成長していく。少女の成長を描く物語としては
 異色中の異色作な気がする。

177◇蒼井上鷹「ホームズのいない町」☆☆☆
 ホームズ作品のパロディと思いきや、短編同士がじわじわとリンクを始め…。
 登場人物全員がなにかしら腹に一物抱えていそうな感じのする作風。

178◇河合隼雄「大人の友情」☆☆☆
 心理療法家として「友情」について悩みを持つ人の多さに気付き、書いた一冊。
 「友人の死」という一節があったので、深く深く読み込みました。

179◇初野晴「退出ゲーム」(再読)☆☆☆☆☆
 急に読みたくなって再読。メインとなる日常の謎の魅力だけでなく、牽制しあう
 三角関係やら部員不足に悩む部活というバックグラウンドを始め、次々出てくる
 ヘンな生徒達により、話がもりもり面白くなる。探偵役の生徒がちょっと物知り
 すぎダヨネーって思わなくもないけど。


180◇綾辻行人「十角館の殺人」☆☆☆☆
 住む人のいなくなった十角館にやってきたミステリ研メンバーを待ち受けていた
 のは、「被害者(五人)」「犯人」「探偵」と書かれたプレートだった。孤島で
 起こる不可解な殺人事件と同時に、陸地では死者からの手紙の謎を追っていた。
 すごいや、カンペキに騙されました。

181◇森見登美彦「恋文の技術」☆☆☆☆☆
 京都の研究所から能登半島の僻地に島流し?された主人公が、文章修行のため
 周囲の人々と文通をする。手紙に綴られるのは、ふつうの生活とふつうじゃない
 イベント(アクシデント含む)が織り交ぜられた愉快な毎日。手紙のみで構成
 された本文であり、足りない部分はガンガン想像を膨らませていけて面白い。
 主人公のヘタレっぷりと、周囲のエキセントリックな登場人物には毎回げらげら
 笑わせてもらえる。中盤から、主人公がかわいくて仕方なく思えた。
 
182◇水原秀策「裁くのは僕たちだ」☆☆☆
 裁判員制度にからめたミステリー。証拠も証人も揃った現職議員による殺人事件。
 簡単に思えた裁判だが、匿名性に守られているはずの裁判員に近づき、判決を
 操ろうとする存在が。裁判員なんて本当に必要とは思えない。最低な制度が出来て
 しまったなと思う。

183◇福田隆浩「赤毛の女医アン」☆☆
 ある事情で看護婦を辞めた主人公ひとみは、人手がなくて困っているという田舎
 の診療所に期間限定で勤めることになった。しかし同時に赴任してきた女医は
 いろいろと破天荒な事を起こす人物で…。

184◇ドロシー・ギルマン「おばちゃまはイスタンブール」☆☆☆☆
 おばちゃまスパイシリーズ二作目。「今から30分後、イスタンブールに飛べます
 か?」今回の任務はスパイ救出大作戦。各国のスパイがイスタンブールに集まり
 またしてもおばちゃまが活躍しながら世界を逃げ回る。

185◇原田マハ「ごめん」☆☆☆☆
 大人の女性の行き場のなくやりきれない悩みに小さな光をあて、かすかな希望
 を持つ瞬間を描いた短編集。

186◇ドロシー・ギルマン「おばちゃまはアルペン・スパイ」☆☆☆☆
 おばちゃまスパイシリーズ四作目。スイスの山里にある高級療養施設に潜入し
 盗まれたプルトニウムを見つける任務に挑むおばちゃま。怪しいプレイボーイ
 の正体や、おどおどした少年の本当の滞在目的まで暴きつつ、本来の任務は
 遂行できるのか。ご都合的展開が楽しめるシリーズ。

187◇山本弘「審判の日」☆☆☆
 夢の中で「イエス」と答えた翌日、世界から生物の姿が消えた。残された人々
 は選ばれたのか、それとも…。神の存在を意識させるSF短編集。夜の町に浮かぶ
 5M級のおっさんの顔の話が気持ち悪くてショッキング。

188◇柳広司「虎と月」☆☆
 中島敦「山月記」の「その後」を描いた異色作品。「父が虎になった」という
 一文を読み解くのは感心するアイデアだけど、いまいち興味が沸かなかった。

189◇竹宮ゆゆこ「とらドラ! 5」☆☆
 文化祭目前に大河の父登場!独り暮らしをやめて一緒に暮らそうと訴える父に
 頑なな大河も心が揺れる。しかし一番賛成するはずの実乃梨が大反発!?
 イラストが文章表現の足を引っ張っている気がしてならない。

190◇山本弘「神は沈黙せず」☆☆☆☆☆
 土砂災害で両親を喪った幼い兄妹は、それぞれの考えで「神」を分析し始める。
 ルポライターになった妹は、世界各地の「神の奇跡」を集めたり、カルト教団
 に潜入取材を試みる中で、カリスマ性を持つ小説家と出会う。一方、研究者に
 なった兄は「宇宙の果て」の綻びから、ありえない真実に気づいてしまう。
 二段組みで分厚いので開くまでに迷いがあったけど、ページ数分の満足感あり。
 この作品における「神」の存在は興味深いと思う(フィクションとして)。
 唯一神を信じてない日本人だから受け入れられる部分もあるのかな。
 ほんとだったら困るけど。作者は「と学会」会長。

191◇ドロシー・ギルマン「おばちゃまは東欧スパイ」☆☆☆☆
 おばちゃまスパイシリーズ五作目。ブルガリアへパスポートを届けるだけの
 指令が、二重依頼や独裁政治を狙う勢力までも巻き込んだ大スキャンダルに!

192ドロシー・ギルマン「おばちゃまはシルクロード」☆☆☆☆
 おばちゃまスパイシリーズ六作目。あいまいな情報をもとに広大な中国で人捜し。
 ツアー客になりすました“同僚”は?何故か男性を虜にしてしまう女性の本当
 のお相手は?そしておばちゃまの任務はどうなるのか?さらにおばちゃまの
 ラブロマンスの結末は!?

193◇竹宮ゆゆこ「とらドラ! 6」☆☆
 文化祭後、優等生木村が突如グレた。金髪&家出し当選確実と言われた生徒会
 長選挙に出ないと言い張る。困惑した友人たちが様々なフォローをするのだが
 一向に更正する気配がない。その本当の原因とは…?

194◇東野圭吾「夜明けの街で」☆☆☆
 新入社員の美女に惚れてしまった主人公は、不倫と知りつつも彼女に溺れていく。
 しかし彼女にはある殺人事件の容疑がかかっていた…。ストーリーや謎解きより
 主人公の考えにイライラしっぱなしでした。最低だこいつ。


(7月)

195◇ほぼ日刊イトイ新聞「オトナ語の謎」(再読)☆☆☆☆☆
 社会の共通語であるオトナ語を解析した貴重な一冊(笑)。

196◇小川糸「食堂かたつむり」☆☆☆
 料理人の主人公は、長年同棲していた恋人に裏切られ、一文無しで実家に帰る
 しかなかった。村一軒のスナックのママである母親に頼み込み、実家の敷地内に
 一日数組限定のお客さまのために特製の料理を提供する小さな小さな食堂を作り
 上げた。面白く読んだけど、なぜか自分には必要ない話だったような印象。

197◇井上夢人「メドゥサ、鏡をごらん」☆☆
 婚約者の父親がコンクリ詰めになって自殺した。著名な作家がなぜそんな奇怪な
 死を選んだのか?日記に書かれているのにデータが消されている遺作を探すため、
 主人公は疑惑の地を訪れる。そしてそこから不可解な出来事が起こり始め…。

198◇五代ゆう「はじまりの骨の物語」☆☆
 炎を操り「冬」と戦う女戦士ゲルダは、愛する男の裏切りが許せず復讐の旅に
 出る。そこで出会う運命の男達と、裏切りに秘められた本当の世界の姿とは?

199◇都筑道夫「泡姫シルビアの華麗な推理」☆☆☆☆
 探偵は安楽椅子で推理し、ソープ嬢はバスタブで推理する。同僚からも人望厚く
 常に売り上げトップに入る腕前の持ち主。キラリと閃く推理力でお客の悩みも
 部下の相談もたちどころに解決してしまう。

200◇黒崎緑「しゃべくり探偵の四季」(再読)☆☆☆
 「ボケ・ホームズとツッコミ・ワトソン」シリーズ二作目。ある時は貧乏学生、
 ある時は臨時占い師、別荘管理人だったりおでん屋台にいたりもする、浪速の
 ホームズ(お笑い)事件簿。

201◇あさのあつこ「朝のこどもの玩具箱」☆☆☆☆
 6つの話を収めた短編集。子供時代に終わりを告げるせつない話や、頑固一徹の
 無愛想な婆、狐の一族の未来への選択など、どの話にもグッとくるシーンが多数。

202◇はやみねかおる「恐竜がくれた夏休み」☆☆
 小学生が連日見る「学校のプールにいる恐竜」の夢、その謎を解こうとした好奇心
 旺盛な四人の小学生は、ホンモノの恐竜に出会う。そして恐竜は世界のために
 ある決意を持っていたのだった。
 
203◇椹野道流「隻手の声」☆☆☆
 法医学の世界を描く鬼籍通覧シリーズ4作目。新米法医学者・伊月は、めぐまれた
 大学ではなく別の場所での研修も開始。スパルタ教育に耐える中、息抜きで始め
 たオンラインゲームで、家族の悩みを持つキャラクターに出会い、過剰に感情移入
 をしてしまう。
 
204◇椹野道流「禅定の弓」☆☆☆
 法医学の世界を描く鬼籍通覧シリーズ5作目。ただの焼死と思われていた老人の
 遺体から、他殺の疑いが浮上。同時期に頻発していた連動物殺傷事件とつながる
 かもと閃いた伊月は、筧刑事とミチル先輩を巻き込んで事件に飛び込んでいく。

205◇霞流一「おなじ墓のムジナ」☆☆☆
 商店街の入口に置かれた巨大なタヌキの置物事件を皮切りに、タヌキがらみの
 イタズラが多発。そしてなんと殺人事件まで! 犯人の疑いを晴らすため、
 求職中の主人公は事件中に散りばめられたタヌキの謎を追いかける!

206◇古橋秀之「冬の巨人」☆☆☆
 雪に閉ざされた世界で、巨大な街に身体を侵食されながら歩き続ける巨人。
 その街に住む貧しい少年オーリャは、巨人観察のフィールドワーク中に、光の
 ような少女に出会う。その一方で街は滅びの道を辿っていき…。

207◇浅暮三文「ラストホープ」☆☆☆
 元泥棒達が経営する経営が苦しい釣具店「ラストホープ」。病気の父のために
 故郷の川の山女魚が欲しいというFAXが届いた事から、世間を騒がしている
 時効間際の一億円事件の激流にのみこまれてしまう。悪党三すくみの犯罪小説。

208◇伊坂幸太郎「ゴールデンスランバー」☆☆☆☆
 真面目な好青年に着せられた濡れ衣は「首相暗殺犯」。個人では太刀打ちでき
 ない強大な敵を相手に、青年は無実を主張しながら疾走する!

209・210◇寮美千子「夢見る水の王国 上・下」☆☆☆
 祖父と二人だけで暮らす少女は、嵐のあとの海岸で一角獣の角を見つけたこと
 から、自分の影をおいかけ別世界をさまよう果てしない旅が始まる。幼年期の
 終わりの感情の揺れと、どうしようもない死別の哀しみが描かれる幻想あふれ
 た文学的作品、思春期の文学少女ならメロメロになりそう。

211◇小林賢太郎「小林賢太郎戯曲集」(再読)☆☆☆☆
 小林賢太郎×片桐仁=ラーメンズの「読み物」としての戯曲集。何度読んでも
 たぶん同じ所で笑える。

212◇恩田陸「いのちのパレード」☆☆☆
 「無国籍で不思議な短編集を作りたい」(あとがき引用)ということで、場所
 もジャンルも様々な話の集まった短編集。

213◇三木聡ほか「時効警察」☆☆☆
 時効事件を趣味で調べる無趣味の男・霧山と、彼に惚れてる交通課・しずか、
 そして彼らを取り巻くアクの強い署内メンバーたちによるコメディミステリ。
 ドラマの脚本をもとに小説化したもの。

214◇加納朋子「少年少女飛行倶楽部」☆☆
 中学校の部活動、その中でも最大に異色の「飛行部」になりゆきで入部した
 主人公は、憧れの先輩への恋心に暴走気味の友人や、怖いもの知らずの天然
 少女、引っ込み思案の元野球少年や、極めつけに変人の部長のフォローに駆け
 回り続ける。面白いけど、それ以上に疲れる話だった。

215◇天野節子「氷の華」☆☆☆☆
 プライドの高い恭子は、夫の子を妊娠したと挑発する愛人を毒殺した。しかし
 刑事や夫の態度から、本当に愛人だったのか?自分は罠にはめられたのではない
 かと疑い始める。緻密な話術で、ベテラン刑事と渡り合う氷の悪女の長編小説。
 

(8月)

216◇似鳥鶏「理由あって冬に出る」☆☆☆
 零細文化部の集まる芸術棟に、フルートを吹く先輩の幽霊と、頭部のない血まみ
 れの壁男が出るらしいという噂が立った。噂の所為で練習に支障をきたし始めた
 吹奏楽部部長に頼まれた主人公は、にわか高校生探偵団となって真相に近づいて
 いくのだが……?

217◇今野緒雪「マリみて リトルホラーズ」☆☆
 マリア様がみてるシリーズ新学年編スタート。お姉様が卒業し、生徒会/薔薇の館
 にも新メンバーがやってきた。新学期早々に起きた小さなホラーストリー。

218◇今野緒雪「お釈迦様もみてる 学院のおもちゃ」☆☆
 マリみてから枝分かれした、祐巳の弟による男子校ストーリー。だけど正直これは
 女子の妄想男子校すぎて、ちょっと入り込んで読めないな〜。

219◇歌野晶午「ROMMY そして歌声が残った」☆☆☆
 ハデなメイクと舞台衣装、卓越したカリスマ性と歌唱力を誇る女性歌手ROMMY
 のレコーディング中に起きた殺人事件。その隠蔽にまつわる諸事件と、断章の
 エピソード、本当のROMMYの正体とは?

220◇三田誠「レンタルマギカ」☆☆
 父の失踪に伴い「魔法使い派遣会社」社長に就任させられた高校生・いつきは
 右も左も分からない業務に右往左往。そのうえ他社競合の「仕事」に参加する
 ことにもなり、禁忌にふれた巨大な魔力を持つある存在と向かい合う。

221◇月見草平「魔法鍵師カルナの冒険4」☆☆☆
 全ての鍵を開ける事ができる魔法鍵師の少女カルナは、魔法により眠りこんで
 しまった師匠を助けるために、最高難度と言われる心の鍵開けに挑む。そして
 探し求めていた師匠の友人・伝説の鍵師との最後の対決にカルナは困惑する。
 完結編であるこの巻は少々急ぎすぎの感があって残念。もう一冊あればなー。

222◇濱岡稔「ひまわり探偵局」☆☆
 商店街の片隅に店を構える探偵ひとり押しかけ助手ひとりの小さな探偵事務所。
 そこに持ち込まれるのは、ムーミンパパそっくりの探偵の人柄に惹かれた依頼人
 からの、少し不思議な依頼たちだった。語り手がちょっとうるさいなと思う時が
 ままあるのと、知識の散りばめ方の中途半端さが鼻につく部分がある。

223◇三浦しをん「人生激場」☆☆☆☆
 静かでしっとりした小説の真反対に暴走するエッセイ集。静かに執筆中と思いきや
 サッカー選手を胸毛的視点からマニアックに語りすぎてみたり、夜中の長電話
 で妄想が止まらなくなってしまったり…。爆走するオトメゴコロは止まらない。

224◇篠田真由美「失楽の街 建築探偵桜井京介の事件簿」☆☆☆
 シリーズ第二部完結、といいつつ何が完結してるのかわからない。京介不在の
 東京では、無差別爆弾事件が多発していた。神代家にやってきた刑事により
 犯人の目星がつくものの、絶望と怒りに揺れ動く犯人の所在を掴むことは
 困難を極めた。東京の歴史ある建物の崩壊とともに語られる物語。

225◇日日日「蟲と眼球とダメージヘア」☆☆
 シリーズ番外編。平穏な日々を取り戻した「世界」に、忘れ去られた蟲の女王が
 現れた。本編では見られない登場人物が勢揃いするおまけ本。

226◇芦辺拓「探偵宣言 森江春策の事件簿」☆☆☆
 シリーズ長編の間を埋める短編集。意外と希な「ふつうの名探偵」森江春策が
 出会う不可解な事件。空飛ぶ死体・消える山荘・謎の血文字など、現代なのに
 どこかすこし古めかしい本格推理シリーズ。

227〜229◇壁井ユカコ「キーリ 7〜9」☆☆☆
 少女キーリと不死人とラジオの「終わりのない旅」もついに終着駅の姿が…。
 キーリの身内と名乗る人物から、教会本部への招待。狙われ続け戦い続けて
 ぼろぼろの不死人ハーヴェイにも決定的な変化が訪れる。出会いよりも別れの
 ほうが多い物語だが、悲しさばかりではない。

230◇森見登美彦「四畳半神話大系」☆☆☆☆
 どどめ色の大学生活を送りながら四畳半の下宿で人生に悩み続ける「私」を
 中心に、悪友「小津」・飄々たる「師匠」・黒髪の乙女「明石さん」・蟒蛇
 「羽貫さん」など個性豊かな面々が、ある分岐をもとに平行世界を繰り広げる。
 バラ色の青春と紙一重の、のたうち回る青春を描いた逸品。

231◇中島望「宇宙捕鯨船バッカス」☆☆☆
 異星人との交易により宇宙への航路が拓け始めた地球で、経済的事情でパイロット
 の夢を諦めていた少年は、酔っぱらいに絡まれた少女を助けたことにより、宇宙
 随一の「捕鯨船バッカス」の船員になるチャンスを得る。書き下ろし作品だから
 続編が出るのはいつの日か。

232◇篠田真由美「胡蝶の鏡 建築探偵桜井京介の事件簿」☆☆
 大河ドラマならぬ大河ミステリシリーズ第三部開幕らしい。90年前にハノイで
 起きた殺人事件、そして家族を引き裂く長い戦争が起きたヴェトナムが舞台。
 少しずつ変わり始めた京介がどうなるのか、ちょっと心配。





(9月)

233◇津原泰水「ルピナス探偵団の当惑」☆☆☆
 目立つ友達二人に存在感を消されそうになる平凡な主人公・彩子は、偶然で
 密室事件の謎を解いたことから、刑事の姉によって推理を強要されている。
 事件の真相より己の恋の行方を優先する、青春探偵物語。

234◇笠原靖「名犬フーバーと美らの拳」☆
 退職した名刑事/現在は名エキストラの長源寺&名犬フーバーシリーズ五作目。
 前回登場した美人刑事・通称山猫が主人公のアクション長編になってしまって、
 肝心のコンビは完全に添え物。山猫さんで書きたいなら、他のシリーズ展開を
 してほしい。人物も善悪つけすぎて、水戸黄門みたいだし…。

235◇山本文緒「絶対泣かない」(再読)☆☆☆
 15の職業に就く15人の女性達、仕事に悩む女性達の小さな夢や心が折れそうな
 失敗など、女性作家ならではの視点で描く短編小説集。

236◇針谷卓史「花散里」☆☆
 つまらない男という理由で振られた主人公は、つまらなくない男になるため
 次の彼女のために手を尽くして努力を重ねるのだが…? 前半は面白かった
 けど、盛り上がるべき後半がぐだぐたになってしまったと感じる。

237◇鯨統一郎「すべての美人は名探偵である」☆
 殺人事件に巻き込まれたエキセントリック美人の歴史学者&大和撫子のご令嬢
 がタッグを組んだ歴史ミステリ。面白い場面もないし、展開もムダが多いし
 肝心の歴史ミステリ部分が薄まりすぎだと思う。

238◇ほしおさなえ「モドキ」☆
 旦那の態度に悩む主婦が気分転換に見つけた「ミニチュア人間」の写真サイト、
 そのモデルが自分と同じ顔をしていると気づいた主婦は、狂おしい気持ちで
 主催者にメールを送り始めた…。最初から最後まで「う〜ん…」としか思えず。

239・240◇太田忠司「銀扇座事件 上・下」☆☆
 少年探偵・狩野俊介シリーズ11作目。銀扇座で復活公演を行う人気女優の護衛
 依頼を引き受けた野上探偵と狩野少年、舞い込む脅迫状と惨劇の真犯人とは?
 上下巻伏線としては面白いけど、そのぶんストーリー密度が薄かった。

241◇管浩江「ゆらぎの森のシエラ」☆☆
 魔物の血を持つ創造主により作られた異形の青騎士・金目は、ある寂れた村で
 紫の目を持つ巫女・シエラに出会う。彼女により自我の目覚めた金目は、創造主
 によって醜く歪められた世界を正す復讐の旅に出る。

242◇福田栄一「晴れた日は、お隣さんと。」☆☆
 新人学芸員として独り暮らしを始めた主人公が引越早々目にしたのは、全裸で
 水浴びを楽しむちょっと変わったおじさん(元大学教授/今は塾の先生)。
 仕事や恋に追われ、ついつい狭くなりがちな視界を、のんびりとしたオーラで
 癒してくれるおじさんの存在は、ちょっといいかも。

243◇久住四季「トリックスターズ」☆☆☆
 日本最新の魔法研究学部の入学式に突如流れた「殺人予告と生徒への挑戦状」。
 特別講師として招かれた世界最高峰の魔術師と、諦観主義の主人公は、いやおう
 なくこの事件に巻き込まれることになる。

244◇大崎善生「ロックンロール」☆☆☆
 まぐれでとった新人賞を踏み台に、専業作家として羽ばたくため二作目を執筆
 中の主人公は、行き詰まった結果ヨーロッパの片田舎で自主的缶詰状態になって
 いた。プロットの作り方や文章の書き方、悩みなどはほとんど私小説とも思える。
 文庫版解説のイッセー尾形氏は、イマイチこの作品が好きではないっぽい。

245◇辻村深月「ぼくのメジャースプーン」☆☆☆
 小学四年生の少年は、ある日自分に不思議な力があることに気づく。時を同じく
 して学校で可愛がっていたウサギが悪意によって殺害され、ショックで抜け殻の
 ようになってしまった幼馴染みを助けるため、その力を使おうと決意する。
 
246・247◇フィリップ・プルマン「ライラの冒険 黄金の羅針盤 上下」☆☆☆
 両親を亡くし大学寮に預けられて育ったライラは、下層階級の子供達が攫われ
 北極に連れて行かれ実験台にされているという噂を聞く。この噂と叔父の失踪を
 関連づけたライラは、学長から密かに託された羅針盤を持って、単身北極へ
 向かった。映画を見てからだったので、イメージが作りやすくて良かった。

248・249◇フィリップ・プルマン「ライラの冒険 神秘の短剣 上下」☆☆☆
 門により別世界に迷い込んだライラは、失踪した父を追う少年と出会う。大人の
 魂を狙う幽霊や、ライラの羅針盤を狙う人物、少年を執拗に追いかける組織など
 あらたな敵が襲ってくる中、二人はお互いの目的のために考え続ける。

250・251◇五代ゆう「パラケルススの娘 1・2」☆☆
 秘術を駆使する一族に生まれながら才能の欠片もない主人公は、英国に留学させ
 られることになり、右も左も分からぬまま男装の美女魔術師の下僕にさせられた。
 悪くはないんだけど、続きはそんなに気にならないかな。

252◇歌野晶午「密室殺人ゲーム王手飛車取り」☆☆☆
 ネットに集う奇妙な五人、彼らが出し合う殺人推理ゲームは、決して机上の空論
 ではなかった…!出題者が現実の殺人を犯し、そのトリックを披露し合う悪趣味
 極まりないコミュニティは、ある恐ろしい終焉を迎えるのだった。

253◇芦辺拓「不思議の国のアリバイ」☆☆☆
 重鎮スタッフ引き抜きや低予算に喘ぐ特撮映画班に、更に悪質な乗っ取り計画が
 持ちかけられていた。しかしその首魁人物が不可解な状況で殺害されスタッフが
 容疑者となったことから、森江春策弁護士に依頼が持ちこまれた…。
 森江春策シリーズ七作目にして、助手ともか女史初登場作品。

254◇うえお久光「ジャストボイルド・オ’クロック」☆☆
 人類が一度滅びた地球では、「家電」と共生する第二の人類が繁栄していた。
 企業がバックアップする「ヒーロー」の存在で、存在意義などないに等しい職
 「探偵」である主人公は、ある事件によって「裏切り者」扱いされていた。

255◇百瀬しのぶ「おくりびと」☆☆☆
 アカデミー賞「おくりびと」のノベライズ。映画をみてすぐ読んだのが幸いして
 聞き取りにくかった部分が補完できてよかった(映画はボソボソ喋る場面が多い)

  • 最終更新:2016-05-20 11:42:56

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